図書館の椅子

図書館内にある特徴的な椅子を紹介します。

ルイ16世様式

ルイ16世様式 Louis XVI Style

「ルイ16世様式」は18世紀後半、フランス・ルイ16世の時代に流行した建築や家具などの様式。 ポンペイ遺跡の発掘などを通してギリシャやローマの古代建築から影響を受けた。
その前のルイ14世様式(バロック)や15世様式(ロココ)に比べ、装飾は控えめで直線的。 椅子の脚も従来の猫脚ではなく、まっすぐなものとなった。

種類: アームチェア
メーカー: コスガ
材料: 木,布

クィーン・アン様式

クィーン・アン様式 Queen Anne Style

「クィーン・アン様式」は18世紀初期にイギリスで流行した室内装飾や家具の様式。
フランスのロココ様式の影響を受けている。この様式の家具は曲線美に優れ、豪華な彫刻などは少なく、機能的なものが多い。背もたれと猫脚が特徴。

種類: アームチェア
メーカー: UK Trade
材料: 木,布

チッペンデール様式

チッペンデール様式 Chippendale Style

トーマス・チッペンデールは18世紀中頃のイギリスを代表する家具デザイナー。クィーン・アン様式を継承し、イギリス独自のロココ様式を展開した。
過度の装飾はなく、機能的。リボンバックの背もたれが特徴。

種類:アームチェア
デザイナー:Thomas Chippendale (トーマス・チッペンデール, イギリス, 1718-1779)
メーカー:UK Trade
材料:木,布

ヘッペルホワイト様式

ヘッペルホワイト様式 Hepplewhite Style

ヘッペルホワイトは18世紀後半のイギリスの家具デザイナー。 死後に出版されたデザイン集によって有名になった。 優美でありながら実用的な家具が特徴。
ヘッペルホワイトがデザインした椅子の背には、ハート形やシールド(楯)形が多用されている。

種類:シールドバックチェア
デザイナー:George Hepplewhite (ジョージ・ヘッペルホワイト, イギリス, ?-1786)
メーカー:UK Trade
材料:木,布

シェラトン様式

シェラトン様式 Sheraton Style

「シェラトン様式」は18世紀後半から19世紀初頭にかけてのイギリスの家具様式。
この時代を代表する家具デザイナー、トーマス・シェラトンの名にちなんでいる。
簡素で機能的。直線的なデザインに特徴がある。

種類:サイドチェア
デザイナー:Thomas Sheraton (トーマス・シェラトン,イギリス,1751-1806)
メーカー:UK Trade
材料:木,布

インタルシア

インタルシア Intarsia

トーネットの曲木の椅子。
ミヒャエル・トーネットはドイツに生まれ、ウィーンで活躍した家具職人。薄い板状に切った原材に蒸気をあてて柔らかくし、鉄製の型枠に固定して曲げる「曲木」の技術を開発し、家具量産化の道を開いた。

種類:サイドチェア
デザイナー:Michael Tohnet (ミヒャエル・トーネット,ドイツ,1796-1871)
メーカー:秋田木工
材料:木

アーガイル

アーガイル (1897) Argyle

スコットランド・グラスゴー、アーガイル街にあるティールームの中央テーブル用にデザインされた椅子。C. R. マッキントッシュによる初めてのハイバックチェア。
マッキントッシュはアール・ヌーヴォーやアール・デコの先駆者として、建築のほか、家具、インテリア、照明器具など幅広い分野の作品を手がけている。

種類:ハイバックチェア
デザイナー:Charles R. Mackintosh (C. R. マッキントッシュ,スコットランド,1868-1928 )
メーカー:コスガ
材料:トネリコ材ブラックエポニー塗装, 張地:ブル

ラダーバックチェア

ラダーバックチェア Ladder-back Chair

スコットランド、グラスゴー近郊にある「ヒル・ハウス」は、 マッキントッシュの代表作とされる住宅。この椅子は、その家のベッドルーム用にデザインされた。
白い寝室の中で美しいコントラストをなす 「座るためだけではなく眺めるための」椅子。

種類:ハイバックチェア
通称:ラダーバックチェア (1902) ヒルハウス
デザイナー:Charles Rennie Mackintosh (C. R. マッキントッシュ,スコットランド,1868-1928 )
メーカー:コスガ
材料:トネリコ材ブラックエポニー塗装
※当館には、座部が白地のものと、グリーンベルベットのもの 各1脚がある。

ミッドウェイ

ミッドウェイ (1914) Midway

6角形の形状を基にしてデザインされた椅子。両サイドのウイングは、肘のせと背もたれの機能を持つ。
デザイナーのフランク・ロイド・ライトは旧帝国ホテルの設計者として知られる。この椅子に続き、旧帝国ホテル用に、同じく6角形の背をもつ椅子をデザインしている。

種類:サイドチェア
デザイナー:Frank Lloyd Wright (フランク・ロイド・ライト,アメリカ,1867-1959)
メーカー:カッシーナ
材料:サクラ材ウォ-ルナット染色,布

レッド アンド ブルー

レッド アンド ブルー (1918) Red & Blue

世界遺産「シュレーダー邸」で知られるオランダの建築家、リートフェルトがデザインした椅子。
直線的なパーツの組み合わせや、黒と原色を用いた色づかいは、1920年代の芸術運動『デ・ステイル (De Stijl)』の特徴を示している。座ってみると、座部の傾斜やつるんとした感触が心地よい。

種類:アームチェア
デザイナー:Gerrit Thomas Rietveld (G. T. リートフェルト,オランダ,1888-1964)
メーカー:カッシーナ
材料:ブナ材ウレタン塗装仕上

ジグザグ

ジグザグ (1934) Zig Zag

Zを逆にしたような不思議な形の椅子。
1枚の木材を折り曲げたように見えるが、実は背部・座部・支持部・底面の4枚を巧みにつなぎあわせている。座ると壊れてしまいそうだが、充分な強度がある。

リートフェルトはオランダに起こった芸術運動「デ・スティル(De Stijl)」の重要なメンバーのひとり。家具職人の家に生まれ、後に建築を学んだ。代表作に、シュローダー邸、レッド&ブルーがある。

種類:サイドチェア
デザイナー:Gerrit Thomas Rietveld (G. T. リートフェルト,オランダ,1888-1964)
メーカー:カッシーナ
材料:サクラ材ナチュラル塗装仕上

ワシリーチェア

ワシリーチェア (1925) Wassily Chair

世界で初めて金属を採用した椅子。両面張りのレザーを椅子の座、背、肘に使用し、弾力性と耐久性をもたせている。バウハウス (ドイツにあった建築とデザインの学校・研究所) を代表する作品のひとつ。椅子の名前はバウハウスの教授をしていた画家ワシリー・カンディンスキーにちなんでいる。

種類:アームチェア
デザイナー:Marcel Breuer (マーセル・ブロイヤー,ドイツ,1902-1981)
メーカー:村田合同
材料:金属パイプ,サドルレザー

スリングチェア

スリングチェア (1928) Sling Chair

「自由に動く背をもつ椅子」として世界的に有名な椅子。「バスキュラント・チェア」ともいう。ニューヨーク近代美術館の永久展示品。腰をおろすと、その姿勢にあわせて背部がリクライニングするようになっている。
パリ郊外のサヴォア邸、マルセイユのユニテ(集合住宅)、その他数多くの作品で知られる現代建築の巨匠ル・コルビュジェによる。

種類:アームチェア
デザイナー:Le Corbusier (ル・コルビュジェ,フランス,1887-1965)
メーカー:カッシーナ
材料:クロームメッキ仕上,子牛毛皮

スリングチェア

バルセロナチェア (1929) Barcelona Chair

モダニズム建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエによる。
ミースは1929年のスペイン・バルセロナ万国博覧会でドイツ館の設計を担当。この椅子はパビリオンを訪れるスペイン国王のためにデザインされた。
原型はギリシャ・ローマのX字の椅子。力強いフォルムと品位を持っている。

種類:サイドチェア
デザイナー:Mies Van der Rohe (ミース・ファン・デル・ローエ,ドイツ,1886-1969)
メーカー:FASEM
材料:スチール,牛革
※当館でも人気の高い椅子だったが、現在は展示していない。

スーパーレジェーラ

スーパーレジェーラ (1950) Super Leggera

超軽量椅子。指1本で持ち上げられる。
座部は藤。細身の脚は断面が三角形。高い技術により、シンプルで繊細な美しさが可能になっている。
ジオ・ポンティはイタリア・モダンを代表するデザイナー。ミラノ工大で建築を学んだ。1928年にインテリア誌『ドムス』を創刊し、編集長としても活躍した。

種類:サイドチェア
デザイナー:Gio Ponti (ジオ・ポンティ,イタリア, 1891-1979)
メーカー:カッシーナ
材料:トネリコ,籐
※当館では、あまりの華奢さ故か、座っている人をあまり見かけない。

バタフライスツール

バタフライスツール (1954) Butterfly Stool

蝶が羽を広げたかたちに見える。のりをつけた薄い板を何枚も重ねてプレスし曲面をつくる「成形合板」の代表作。
アムステルダム美術館、ニューヨーク近代美術館の永久展示品でもあり、国際的に高く評価されている。
もともとはローズウッド(紫檀)を使用してつくられていた。

種類:スツール
デザイナー:柳 宗理(1925-)
メーカー:天童木工
材料:メープル,ウレタン樹脂

キャブ

キャブ (1970) Cab 

スチール製のフレームの上にコードバンをかぶせたという異色の椅子。ファスナーがついていて、フレームの部分と革の部分が分けられるようになっている。
マリオ・ベリーニはイタリアを代表する建築家。自動車、テレビ、カメラなどの工業デザインも数多く手がけている。

種類:サイドチェア
デザイナー:Mario Bellini (マリオ・ベリーニ,イタリア,1935-)
メーカー:カッシーナ
材料:なめし革,スチールパイプ

バランスチェア

バランスチェア Balance Chair

良い姿勢を保つために考えられた椅子。この椅子に座ることによって、腰椎が自然なS字曲線になるようになっている。

種類:バランスチェア
メーカー:国新産業
材料:スチ-ルパイプ,テトロンジャージ
※館内では、時々個性的な座り方でくつろいでいる人も・・・。

バーテブラ・チェア

バーテブラ・チェア (1980) Vertebra Chair

「バーテブラ」とは脊髄を意味するラテン語。姿勢の変化に応じて背もたれや座部が動き、 オフィスワークの疲労を軽減するよう工夫されている。エミリオ・アンバースはアルゼンチンに生まれ、ニューヨークに事務所をかまえる建築家。工業デザインやグラフィックデザインの分野でも活躍している。

種類:オフィスチェア
デザイナー:Emilio Ambasz (エミリオ・アンバース,アメリカ,1943-)
メーカー:イトーキ
材料:スチ-ルパイプ,布

ウィンク

ウィンク (1980) Wink

かわいらしいスタイルと優しい座り心地が特徴。Topolino (子ねずみ)」の愛称で親しまれている。
ノブをまわして背の角度を変えたり、折り曲げられた脚の部分を伸ばしたり、好きなかたちで くつろぐことができる。
デザイナーの喜多俊之は環境及び空間、工業デザインの分野で国際的に活躍中。この作品は、ニューヨーク近代美術館の永久展示品となっている。

種類:パーソナルチェア
デザイナー:喜多 俊之 (1942-)
メーカー:カッシーナ
材料:金属パイプ,布

チッペンデールチェア

チッペンデールチェア (1983)  Chippendale Chair

1979年から1984年にかけて制作された、歴史的な椅子のスタイルを 平面的に表現したシリーズのうちのひとつ。 ほかに、クィーン・アン、シェラトン、ゴシック・リヴァイバル、アール・ヌーヴォーなどが作られている。
合板の厚さは2cm程度。まるで紙細工のような印象。
ヴェンチューリは、ミース・ファン・デル・ローエの「Less is more」という言葉が示すような簡潔で機能重視のモダン・デザインに対して、「Less is bore (少ないことは退屈だ)」と述べ、新しいデザイン活動を展開した。

種類:サイドチェア
デザイナー:Robert Venturi(ロバート・ヴェンチューリ,アメリカ,1925-)
メーカー:ノル・インターナショナル
材料:成形合板(プリント模様)

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